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これまでの取組みその2、福井一尊

文:福井 一尊

投稿日:2009年2月11日(水)

hukui-gazou-web『ブロンズをとおして自己を見つめる』

人生という旅を続け、様々な国を歩くなか、砂漠のオアシス都市でブロンズという素材に出会いました。

朽ち果てるわけでも、元のきらびやかさを保っているわけでもない、2500年前のブロンズ像です。

私は二十代で、絵画にはない表現形態を模索していた頃でしたので、その圧倒的な時間を経てそこに存在する像に心を打ち抜かれました。

金属というと冷たい、重い、硬いという印象があろうかと思いますが、磨かれたブロンズ像は滑らかな触感で、力を加えても石やガラスのように割れることがありません。
また、熱を加えて溶解すると、さらさらの水のようになり、どんな細かな形態にもなりえるという性質を持っています。でありながら、永く形をとどめ、少しずつ朽ちていくという儚さも併せ持っています。

私はこれまで、そんな金属であるブロンズによる作品制作で自己表現を続けてきました。

金属マニアとして、美術館での個展や、瀬戸内の島や古民家を使っての展覧会でその素材の持つ魅力に助けられながら、作品を発表しています。

最近では発表する領域も広範囲になってきましたが、作品を通して自己と向き合う時間を最も大切に考えています。

自己の分身であるブロンズ素材が、街に、人にどのようなムーブメントを起こすことができるのか、ワクワクしながら、私は今日も作品の声に耳を澄ませます。

造形家 福井一尊

福井 一尊

1976年夏生まれ。造形家。大学院在学中より、様々な素材を使った美術作品を制作し、発表を続けている。個展開催、企画展参加など多数。人と人、あるいは人と社会をつなぐエネルギーとして、アートの可能性を信じている。2007年から松江市在住。現在、島根県立大学短期大学部講師 。「地元の芸術家による展覧会」に出展。 http://