小泉八雲とセント・パトリックス・デイ・パレード in Matsue
小泉八雲旧居
奥谷町の南西,武家屋敷の街並みの面影色濃い塩見縄手に,小泉八雲(1850-1904)の記念館と旧居が立ち並んでいます.
旧居は,松江尋常中学校に英語教師として勤務していた八雲が,熊本に転勤するまでの半年余りを過ごした家で,後に妻となる小泉セツと暮らしたことや,この家の庭の観察から「ある日本の庭で」(『知られぬ日本の面影』)という一文が生まれたことでも知られています.
小泉八雲という名は,後に日本に帰化してからの名前で,松江で暮らした当時はラフカディオ・ハーンと名乗っていました.
ハーンはアイルランド人の父とギリシア人の母の間に生まれ,生誕地のギリシアのレフカダ島にちなんで「ラフカディオ」と名付けられましたが,実は「パトリック」というファースト・ネームを持っていました.
「パトリック」は,アイルランドにおけるキリスト教布教に大きな役割を果たしたとされる守護聖人と同じ名前です.
もっとも,ハーン自身はアイルランドで過ごした少年時代の体験からねカトリックの教義にはなじめず,「パトリック」という名前も積極的に名乗ろうとはしなかったのですが,八雲の曾孫・小泉凡さんからうかがったところによると,来日後のハーンは,遺言状にPatrick Lafcadio Hearnと署名したり,アイルランドにふるさとの味とも言えるプラム・プディングを大量したりと.アイルランド人のアイデンティティを再認識したかのような行動の跡を残したと言います.
「怪談」に代表される八雲の再話文学に見られるアイルランドの口承文芸との共通性はすでに多く指摘されていますが,一方で自覚的にも.自らがアイルランド人であることを受け容れていたのかも知れません.
そんな小泉八雲との縁が深い松江で,セント・パトリックス・デイ・パレードが3月8日に開催されます.
聖パトリックの命日3月17日の前後には,アイルランドをはじめ世界各地の街を,聖パトリックを記念してアイルランドのナショナル・カラーである緑色に着飾った人々の行列が闊歩します.
松江でのパレードは今年で3年目.堀川遊覧船による水上パレードや殿町・京店を往復する陸上パレード,会場周辺でのアイリッシュ・フェスティバル,そして当日と前日7日の夜には2日間限りのアイリッシュ・パブがカラコロ工房にオープンするなど,八雲が暮らした奥谷にほど近い街が,アイルランド一色に染まります.
7日,8日の両日は,奥谷タイムトンネルの各会場から少し足を伸ばして,八雲の記念館や旧居,セント・パトリックス・デイ・パレードやアイリッシュ・パブと合わせて楽しむのはいかがでしょうか.
セント・パトリックス・デイ・パレード in Matsue
http://www.sanin-japan-ireland.org/parade/
石川 陽春
いしかわ・きよはる:グラフィック・デザイナー.1977年生まれ.島根大学大学院人文社会科学研究科修士課程修了(日本近代建築史).小泉八雲の研究・顕彰団体「八雲会」サイトの4月開設に向けて作業中.作品「島の写真屋アートプロジェクト」活動報告書デザイン,島根県芸術文化センター「グラントワ」サイトリニューアル,「松江ゴーストツアー」チラシ.八雲会会員,山陰日本アイルランド協会会員. http://ishikawakiyoharu.info/




