城下町松江を歩いてみよう、その2「奥谷町・石橋町を行く」
奥谷町の街並み
奥谷タイムトンネルの舞台地となる奥谷町は,堀尾氏が松江藩を治めた時代,主に中級武士の屋敷が並ぶ町として作られました.今でも大小さまざまな規模の住宅が,自動車の通行を想定していそうもないほど細い路地に面してひしめきあっています.「ひょっとして江戸時代の屋敷の門の一部じゃないか?」と思しき建物にも,いくつか出会います.
奥谷町の東に隣接する石橋町は,堀尾氏,京極氏の後に松江藩を治めた松平氏の時代に新たに作られた町人の町です.道路に面して立ち並ぶ蔵の数々を見ながら,蔵からかすかにただよう醤油のにおいに気づくたび,「昔この町を行き交った人々と同じように,私も今,視覚や嗅覚をはたらかせているのかも知れない」と思われてきます.
全国でも数少ない創建当初の姿で現存する天守閣のひとつである松江城の天守閣や,古い街並みを今によく伝える塩見縄手も,城下町松江を存分に楽しめるスポットとして見逃せないことは,言うまでもありません.しかし,何気なく素通りしてしまいそうな街角にも,観光客の姿がほとんど見られない住宅地にも,実は城下町の魅力がたたずんでいます.
町に点在する奥谷タイムトンネルの各会場を訪ね歩くときには,そんなことも頭の片隅に置いてみて下さい.
参考文献
- 松尾寿『城下町松江の誕生と町のしくみ:近世大名堀尾氏の描いた都市デザイン』松江市教育委員会,2008年.
- 松尾寿「堀尾期の松江城下町」,島根大学附属図書館編『絵図の世界:出雲国・隠岐国・桑原文庫の絵図』ワン・ライン,2006年.
- 作野広和「城下町の地理」,乾隆明編著『松江藩の時代』山陰中央新報社,2008年.
- 佐藤滋『城下町の近代都市づくり』鹿島出版会,1995年.
石川 陽春
いしかわ・きよはる:グラフィック・デザイナー.1977年生まれ.島根大学大学院人文社会科学研究科修士課程修了(日本近代建築史).小泉八雲の研究・顕彰団体「八雲会」サイトの4月開設に向けて作業中.作品「島の写真屋アートプロジェクト」活動報告書デザイン,島根県芸術文化センター「グラントワ」サイトリニューアル,「松江ゴーストツアー」チラシ.八雲会会員,山陰日本アイルランド協会会員. http://ishikawakiyoharu.info/




